保険料のはなし

投稿者:
ライフネット生命 スタッフ

こんにちは、数理部の岸本です。

仕事の関係上、保険料がどうやって決まるのか、という質問をされることがしばしばあります。
今日はその話をしてみたいと思います。

保険料は、将来の保険金や給付金の支払いに使われる『純保険料』と、保険事業を運営するために使われる『付加保険料』に分けることができます。
この純保険料がどのように計算されるかを、簡単な例で計算してみましょう。

仮に、年齢・性別などの条件がまったく同じ人1,000人が死亡保険に加入したとします。
保険金額は全員10万円としましょう。
(計算を簡単にするため、死亡率などの数値は少しおおげさにしています。)


【1】一番簡単な、保障期間1年のケースをみてみます。
もし、1年間に5%の人が亡くなると仮定すると
1,000人× 5% = 50人
が亡くなることになります。

したがって、保険金の支払いは、全部で
50人 × 10万円 = 500万円
になります。

これを1,000人の保険料でカバーするには、一人あたり
500万円 ÷ 1,000人 = 5,000円
が必要ということになります。


【2】では、保障期間が2年になると、どうなるでしょうか?
死亡率は、年を経るごとに増えていきますので、同じ5,000円では不足してしまいます。

仮に2年目の死亡率を10%としてみましょう。
死亡率が倍になったので、単純に考えれば、2年目は一人あたり1万円必要ということになります。

確かに1年目5,000円、2年目1万円ならば、保険金の支払いに必要な金額がまかなえます。
このように、その年ごとの死亡率に応じて金額が上がっていくような保険料のことを『自然保険料』 と言います。

これに対して、毎年同じ金額になるように計算した保険料のことを『平準保険料』と言います。
ふつうは、この平準保険料が使われています。

では、平準保険料だといくら必要でしょうか?
1年目5,000円、2年目1万円が必要なら、その平均をとって、毎年7,500円ずつにすれば良さそうです。
でも、実はこれよりほんの少し安くなります。


【3】上の【1】で計算したように、2年目の計算をしてみましょう。
1年目とまず違ってくるのは、1年目にすでに50人の人が亡くなっているので、2年目の初めには950人に減っていて、この人たちが保険料を支払うことになります。

一方、2年目に亡くなるのは、死亡率が10%でしたので
950人 × 10% = 95人
ですので、2年目に支払われる保険金の総額は
95人 × 10万円 = 950万円
になります。
2年間合計すると
500万円 + 950万円 = 1,450万円
です。
一方保険料は、1年目1,000人、2年目950人で、合計すると1,950人の保険料になります。
これで保険金1,450万円をまかなうには
1,450万円 ÷ 1,950人 = 7,436円
の保険料が必要になります。
これが平準保険料になります。


【4】なぜ(ほんの少しですが)安くなったのでしょうか?

上でも書きましたが、自然保険料として1年目、1,000人が1人あたり5,000円出し、2年目950人が1人あたり1万円出せば、これで必要な保険金がまかなえます。

1年目と2年目の保険料を同じにするために、単純に平均値をとると、
1年目1,000人が1人あたり7,500円出し、2年目も950人が1人あたり7,500円出すということになりますが、
この場合、1年目の保険料は全体で
1,000人 × 7,500円 = 750万円
2年目は
950人 × 7,500円 = 713万円
2年間合計で
750万円 + 713万円 = 1,463万円
になります。
しかし,2年間に保険金として支払われる額は、【3】で計算したように1,450万円なので、13万円余ってしまう計算になります。

言いかえると、2年間保険料を支払った950人にとっては、支払った保険料の合計は1万5千円なので自然保険料と同じですが、1年目に亡くなった50人だけは、1年目の自然保険料より2,500円余分に支払ったことになります。
その結果,全体で 50人 × 2,500円 = 13万円 余ってしまう計算になります。
これを調整するために、結果的に保険料は7,500円より安くなるのです。


さらに保険会社は、受け取った保険料を、保険金の支払いまで運用に回すことで利益を得ることができます。
あらかじめ、この利益を見込んでおいて、その分保険料をさらに安くすることができます。

これをどうやって計算するのかというと・・・・。


長くなってしまったので、続きはまたの機会にしたいと思います。

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