ソルベンシー・マージン

投稿者:
ライフネット生命 スタッフ

つい先日、当社でも上半期決算の結果を公表しました。
https://www.lifenet-seimei.co.jp/newsrelease/2008/1302.html

ソルベンシー・マージン比率については、こちらにも記載しています。
https://www.lifenet-seimei.co.jp/profile/solvency/index.html


そこで、今回はそのソルベンシー・マージンのことを書いてみます。

ソルベンシー・マージンというのは、あまり耳慣れない言葉ですが、
英語でソルベンシー(solvency)は、「支払い能力があること」、マージン(margin)は「余裕・余地」という意味があります。
標語的に書けば、「通常予想できる範囲を超えるリスクに対応するために会社が保有している支払余力」ということになるでしょうか。
法令には、「ソルベンシー・マージン」という言葉自体は出てこないものの、保険業法にそれに関する規定があります。
それほど長くないので、引用してみます。


(健全性の基準)
第百三十条  内閣総理大臣は、保険会社に係る次に掲げる額を用いて、保険会社の経営の健全性を判断するための基準として保険金等の支払能力の充実の状況が適当であるかどうかの基準を定めることができる。
一  資本金、基金、準備金その他の内閣府令で定めるものの額の合計額
二  引き受けている保険に係る保険事故の発生その他の理由により発生し得る危険であって通常の予測を超えるものに対応する額として内閣府令で定めるところにより計算した額


これらの計算の詳細は、保険業法施行規則などで定められています。(上半期報告の中には、それぞれの内訳について記載されています。)
この第一項の額のことを「ソルベンシー・マージン」といい、会社の純資産に有価証券・土地の含み損益や危険準備金・価格変動準備金といった留保利益性のある積立金などを加えたものです。
また第二項は、いわばソルベンシー・マージンで対応すべきリスクといったもので、保険に関するリスクだけでなく資産運用に関するリスクなども含まれています。
第一項のソルベンシー・マージンを第二項のリスク額の半分で割った比率のことを「ソルベンシー・マージン比率」といいます。
このソルベンシー・マージン比率が200%を下回ると、監督当局によるいわゆる早期是正措置が発動されることになっています。(同第百三十二条)

以前、保険料について書いたことがありますが、死亡率や疾病率はほとんどの場合年齢とともに増加していくので、
保険料の一部を将来のために積み立てておき、死亡率や疾病率が増加する契約後期に備えることになっています。
とはいっても、会社が積み立てている保険料積立金などだけで、あらゆる可能性に備えられるというわけではありません。
極端ですが、もし死亡保険の被保険者が全員明日亡くなってしまったら、とてつもない額の保険金を会社が負担しなくてはいけないことになります。
もちろん、そういった確率はゼロではないとはいえ、まず起こらないと言っていいでしょうし、会社がそこまでの可能性を考えて備えなければならないというのも不合理です。ですので保険料積立金は、「通常の予測」の範囲をカバーできる金額として計算されています。

それでは、例えば大災害や伝染病の流行などで「通常の予測を超える」事態が起きたときどうなるのか。このとき、保険料積立金だけではカバーできなくなっているので、会社は純資産などの中から負担することになります。この“純資産など”と書いたものが上の「ソルベンシー・マージン」にあたります。そして、このような事態に会社はどれくらい耐えられるか、ということを表す指標の一つが「ソルベンシー・マージン比率」なのです。
当社の場合、まだ開業からまもないということもあり、保有している契約の件数に比べ、“純資産など”の額が大きくなっています。
そのため、結果としてソルベンシー・マージン比率が2万8千パーセントというかなり大きな数値になっています。

最後に、言うまでもないことかもしれませんが、ソルベンシー・マージン比率はこれだけで会社の健全性を測ることができる、というものではありません。
そのことには注意する必要があります。


数理部 岸本

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