三利源

投稿者:
ライフネット生命 スタッフ

先日、当社でも2008年度の決算(案)のプレスリリースを行いました。
そこで三利源の開示も行っています。
https://www.lifenet-seimei.co.jp/shared/pdf/LIFENET_disclosure_2008.pdf

三利源というのは、危険差損益(死差損益)、利差損益(順ざや/逆ざや)、費差損益の3つのことで、保険会社の利益をこの3つに分けて分析する手法を利源分析と呼んでいます。

これは、保険料が大きく分けて次の3つの要素から決められることと関係があります。
(1) 予定死亡率や予定入院率などの発生率
(2) 予定利率
(3) 予定事業費率(付加保険料)

(1)は、保険金や給付金の支払の発生する率です。
死亡率などのように発生率が年齢とともに増加するようなものについては、将来の発生率の増加に備えて保険料の一部を積み立てておく必要があります。これを保険料積立金といいます。
この積立金を運用にまわせば、その分保険料を安くすることができるので、一定の利回りがあらかじめ保険料の計算に織り込まれています。これが(2)の予定利率です。
また、保険料のうち、契約の獲得や維持管理などための費用に充てる部分、いわば手数料に相当する部分が付加保険料ですが、その算定に使われるのが(3)の予定事業費率です。

これらの言葉に「予定」とつけられているのは、保険料の算定のための前提といった意味合いです。
もし、保険金の支払、積立金の運用、会社の使った費用がすべて「予定」通りなら、収入と支出がぴったり合うことになります。
(そのように保険料は計算されています。)
もちろん実際にはすべてが「予定」通りに行くわけではありません。
そして、この「実績」と「予定」の差が保険会社の利益(または損失)になるわけです。
上の3つの要素それぞれについて、「予定」と「実績」の差がどれくらいかを評価するのが利源分析ということになります。

ライフネットは今年3月末時点では開業して1年目なので、他の生命保険会社とはまた違った特徴があります。
(1)に対応する危険差益ですが、被保険者の健康状態などをもとに契約の引き受けの可否を判断しているので、契約成立当初は一般的には「実績」が「予定」を下回ることが多いです。
しかし、一方では、保険金額が数千万円と高額なため、いまの保有契約件数なら、支払が1件多いか少ないかによって大きく変動してしまいます。

(2)に対応する利差益については、そもそもの保険料積立金が責任準備金48百万円の中で1割にも満たず、積立金に係る予定利率分の利息(予定利息といいます)がごくわずかなので、利息収入がほとんど利差益になっています。
なお、金銭の信託運用益については、キャピタル収益ということで基礎利益には含めないため、利差益にも含んでいません。

(3)について、開業1年目の現時点では保有契約が少ないこともあり、費差損になっています。
(これは開業1年目に限った事ではありませんが)一般的に、保険契約を獲得するのに必要な費用(ライフネットではおもに広告宣伝費など)をその年に獲得した契約からの保険料収入だけでまかなうことが難しいということもあります。
契約を獲得すればすぐに利益(特に費差益)に結びつくということはなかなかありません。

生命保険の契約の多くは長期にわたるものです。
今の契約にその年その年の新しい契約が加わっていくことで、保有契約が積み重なって増えていけば、それによりライフネットも成長していくことができます。

数理部 岸本

  • このエントリーをはてなブックマークに追加する
  • Twitterでつぶやく

ページの先頭へ戻る