大相撲を「聴く」

投稿者:
ライフネット生命 スタッフ

ゆったりとコーヒーを飲みながら読書を愉しんでいた土曜の午後。
何気なく付けたテレビから流れてきたのは、7日目を迎えた国技館のざわめき、そして”あの人”の声。
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“あの人”とは、元楽天イーグルスの野村監督。その日のゲスト解説者。
妻がいたくお気に入りということで(名物だった「ぼやき」が面白くて仕方なかったらしい)、特に大相撲好きというわけではないものの、二人で何気なく見始めたNHKの大相撲中継。

16時過ぎから始まった中継に二人で釘付けになり、気がつけばもう結びの一番。まったく期待していたわけではないのですが、二人とも、野村監督ゲストの相撲中継に完全にハマってしまったのです。

アナウンサー ⇒ 正確かつ豊富な相撲知識、ユーモアも織り交ぜつつの落ち着いた進行
舞の海さん ⇒ 元力士だけに現場感があり、かつ知的で的確なコメント
野村元監督 ⇒ 素人ゆえの素朴かつ鋭い質問

この3人のハーモニーが大変面白く、「目」で取り組みを観るのもさることながら、意識は完全に「耳」。野村監督の質問がまた素晴らしい。素人が、「たしかに。一度こういうのを聞いてみたかった。」という質問をポンポン出す。

“今のあの立会いは、彼にとって良い立会い?それとも悪い立会い?”
“立会いの作戦って直前に変えたりするものなの?変えた場合って、うまくいくものなの?”
“立会いの時って、力士は何を考えているの?”
“翌日の取り組み相手って知りたいものなの?知りたくないものなの?”
“高見盛はなぜ試合前にあんなに「気合い」を入れるの?あの時彼はどういう心境なの?”

などなど。彼は本当に質問の宝庫。そして、その質が高い。
大相撲を「観る」のもいいですが、「聴く」大相撲が加わるともっと面白い。新しい発見でした。
(相撲のファン離れが進んでいるそうですが、今回のような企画がもっと出てくれば変わってくるのかも。「横綱としての品位を欠く」とか「年寄り・親方衆の政治抗争」とかは正直どうでもいい!)


これを一歩引いて考えてみると…
コンテンツ(相撲の試合)を見せるに留まらず、コンテクスト(技の解釈や力士の心理状況解説)も併せて見せると、今までと違った世界が見えてくる、ということなのかも。

実はメチャクチャ面白いのに、初心者にはルールが難しくてとっつきづらいマイナースポーツ(マイナーという表現は失礼ですが)って結構多い。例えばパッと思いつくものでは、「アメフト(日本では)」とか「カーリング」とか。それぞれ、もうすぐスーパーボウルがあったり(アメフト)、バンクーバーで注目を集めたり(カーリング)すると思うので、この一大機会に野村監督企画みたいなのを突っ込めたらファン層の拡大が見込めるんじゃないかなぁ。

スポーツ以外では、例えば「美術館」。美術の素養がない僕は、有名な絵画や彫刻を目の前にしても、イマイチ意味が良く分からない(トランシーバーみたいなのを貸し出ししてくれるけど、のっぺりした解説で全然面白くない)。もっと工夫があるといいのに。

当たり前になって落ち着いてしまったものでも、諦めることなく工夫をすれば、まだまだ違う地平が見えてくるような気がします。

事業開発部 辻

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