契約の計りかた

投稿者:
ライフネット生命 スタッフ

こんにちは。数理部の岸本です。

生命保険会社は四半期ごとに業績の開示を行っています。
そこでは、会社の損益や「契約高」の状況などが開示されています。
ライフネットのこれまでの業績は、
でご覧いただけます。

さて、もうすぐ2010年度第3四半期(2010年10~12月)の業績の開示が行われます。
そこで、今回はその中の「契約高」について、簡単に書いてみたいと思います。
今回は、一般的な内容を記載していますので、ライフネット生命での取扱いのない商品のことも含まれています。

「契約高」については、
期末時点での保険会社の保有する保険契約がどれくらいあるかを示す「保有契約高」と、当期に新たに成立した新契約と転換による増加分を合計した「新契約高」の2種類があり、それぞれについて、件数と金額を開示しています。

主契約に特約が付加されている場合、セットで1件と数えますので、件数は結果的に主契約の件数になっています。
もちろんですが、保障が高額でも小額でも、1件は1件とカウントされます。
一方、金額の方は個人保険や団体保険の死亡保障額と年金商品の年金原資(年金支払中の契約については責任準備金)の額を合計したもので、主契約・特約に関わらずすべて含まれます。
そのため、たとえば件数に比べて金額が大きければ、高額保障の契約が多いということになります。
ただし、医療保険など、いわゆる第三分野と呼ばれる商品については、それが主契約であれば件数の中に含まれていますが、金額の方には含まれません。
(医療保険の中に死亡保障が含まれるような場合、その死亡保障部分は金額に含まれます。)
ですので、件数に比べて金額が小さい場合必ずしも小額の契約が多いということにはならないので注意が必要です。

第三分野商品を含めた契約のボリュームを見る指標として「年換算保険料」があります。
これは、各契約の1年分の保険料を合計したものです。
ライフネットの場合、すべての契約が月払になっていますので、1回分の保険料を12倍したものが年換算保険料となります。
もし、すべての契約がそのまま1年間継続したとすれば、年換算保険料と同額の保険料収入があることになります。
実際には、解約などで契約が減少したり、逆に新契約により増加したりするので、
保険料収入と年換算保険料が一致するわけではありません。
(ライフネットの昨年度末の保有契約の年換算保険料は10億円でしたが、保険料収入は第3四半期までですでにこれを上回っています。)

保険料収入と一致しない理由としては他に、保険料の払込期間が契約期間より短い商品を扱っている場合も挙げられます。
年換算保険料は、払込期間全期間にわたる保険料の総額を契約期間1年あたりで割った金額として計算されます。
たとえば、契約期間10年で保険料が一時払(契約成立時に一括して払う商品)の場合、年換算保険料は一時払い保険料の10分の1になります。
したがって、さきほど年換算保険料を「1年分の保険料」と書きましたが、これは「1年間に払い込まれる保険料」ではなく「契約期間1年あたりに換算した保険料」ということになります。

また、年換算保険料は、第三分野かどうかに関わらずすべての契約のボリュームをあらわす指標としての利点はありますが、保障内容などの違いによって影響を受けることがあります。
たとえば、保障のみの商品より貯蓄性の高い商品の方が一般的に保険料が高いため、貯蓄性商品が多い会社の場合、件数に比べて年換算保険料が大きくなるといったことがあります。

このように、生命保険商品の保障内容が多様化しているなかで、契約がどれくらいあるかを表すこれらの指標にはそれぞれ一長一短があります。
保険会社の業績を見る際に、こういったことを踏まえて見ると、また違った見方ができるかもしれません。


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