一年程前になりますが、ガラパゴス諸島に行ってきました。
往復丸2日以上かかる、日本から真反対にあるガラパゴス諸島は、渡航はとても大変でしたが、海外旅行の域を超えた感動の連続でした。
ガラパゴスは、各大陸とは隔絶された独自の進化を遂げた固有種が多く存在します。天敵になるような大型の陸棲哺乳類が存在せず、ガラパゴスノスリという鳥が生態系の頂点にいます。
独自の進化による貴重な動物たちが見られるということで有名なガラパゴスですが、私が個人的に感動したのは動物そのものの珍しさより、動物が人間を全く意識していないこと。
通常、どんなに自然が豊かで動物がたくさんいる所でも、動物は人間を見れば警戒するもの。ただし、ガラパゴスの動物たちは違います。人間はまるで空気かのように完全に無視し、人間との距離1メートルぐらいでもゾウガメ同士が喧嘩をし、親鳥はひな鳥に餌をやり、オットセイは眠り、イグアナは餌を待っていました。規模は全然違いますが、まるで太古の世界にタイムスリップしたように錯覚を覚えます。
こんなに観光地化された今でも人間を全く怖いものと思っていないその姿は、様々な方がこれまで必死に保護してきた結果なのだと思います。
現在、観光客は、足元を洗ってからでないと上陸させないほどの保護体制を取っていますが、一方で入植されたヤギや、エルニーニョ現象等が生態系を脅かすという問題も生じているそうです。
また、大変興味深いことに、最近の調査ではウミイグアナとガラパゴスリクイグアナの共存関係が崩れだし、両者の交尾によってハイブリッドイグアナと称される新種のイグアナも誕生するなど、さらに進化をとげているようです。
ハイブリッドイグアナは、地球温暖化により海水の水温が上昇したことでウミイグアナの食糧である海草が減少し、ウミイグアナが島に住みつき、リクイグアナと交配してできたとされています。ハイブリッドイグアナは、リクイグアナの持つ鋭い爪をそなえており、サボテンに登りそれを食べることができ、かつウミイグアナのように海に潜り海草も食べることができます。
この優れた身体能力によって、陸上のサボテンと海中の海草のいずれも食べることができるハイブリッドイグアナは、今後も継続する地球温暖化によると考えられている気候変動によって、食糧不足が起こったとしても、生き延びられる雑種とも考えられますが、繁殖能力はないため、ウミイグアナ、リクイグアナ両種が存在しない限り生まれ得ないため、今後が心配されます。
そして微動だにしなかったこちらのゾウガメは、ピンタゾウガメの最後の生き残りの1頭、ロンサム・ジョージ(=たった一人のジョージ)です。ロンサム・ジョージは今年の6月に死亡が確認され、残念ながらピンタゾウガメは子孫を残すことなく絶滅してしまいました。
機会があれば、この興味深い場所に足を踏み入れることをおすすめします。
そんな私はこのブログがアップされる頃には、モロッコに。
お休みが取りやすい環境に感謝し、存分に楽しんできたいと思います。
(注)お休みばかり取っているわけではありません。
経理部 波多野