重い課題

投稿者:
ライフネット生命 スタッフ

昨年度から大阪大学の金融・保険教育研究センターで講義を行っています。
講義の目的を一言で言うと、保険という商品を通じて、リスク管理の考え方を伝えること。
今年で2年目ということもあり、昨年とは違った要素も散りばめながら教えています。

昨年との違いの1つに、期末レポートがあります。今年は、以下のような「重い(?)課題」を出してみました。

『あなたは、保険会社に入社し、リスク管理部門に配属されました。あなたの上司は文系出身でアクチュアリーではありません。あなたの上司は、日本アクチュアリー会の報告書「変額年金保険等の最低保証リスクに係る責任準備金の積立等について」に興味を持ち、この中に登場するCTEアプローチについて、あなたにレポートを書くよう指示しました。CTEアプローチの概要およびその限界を要約しなさい。』

CTEアプローチは、カナダの変額年金保険のリスクを測定するために導入された手法で、ノーベル経済学賞を受賞したことで有名なブラック・ショールズ・モデルの発展系のモデルを用いる、かなりテクニカルな手法です。保険料や責任準備金の概念を知らなかった学生が、わずか15回の講義で、CTEアプローチを理解し、専門家ではない上司に対してレポートを書くのは、かなり大変だと思います。でも、教わった数式をそのまま理解するのではなく、それを違った形でアウトプットする能力を鍛えることは、きっと彼らが社会人になってからも必要になるスキルだと信じています。また、そこで試行錯誤することで、講義の内容の理解度がさらに深まるかもしれないので、今期は敢えてこのような重い課題を出してみました。

ちなみに、当社も、新卒採用の募集で「重い課題」を出していますが、その目的も「考えるプロセスそのものを問う」ことにあります。

数学は英語で言うとmathematics。その語源はマテーマというギリシャ語にあり、これは「知識、研究、学ぶこと」を意味します。社会人になると、日々の業務に追われ、「知識、研究、学ぶこと」が少なくなりがちですが、いつまでもマテーマの精神を忘れたくないと思うリスク管理部の藤澤でした。

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