「無限」の考察

投稿者:
ライフネット生命 スタッフ

数学について、一般的には「論理でガチガチ」なイメージで思われているんでしょうか。
確かに専門書だと、ひたすら論理を積み上げていくような本も多いです。
それでも論理を追うだけでなく、その過程で直観を養うというかイメージを広げていかないとなかなか理解できないものです。

そういえば、昔読んだ新書で、まえがきに「この本は予備知識がいらないから論理を丁寧に追っていけば理解できるはず」というようなことが書いてあったのですが、中身がものすごく専門的で、新書のつもりで気軽に読むと痛い目に合う(?)くらいレベルが高い、という本がありました。

先日読んだ足立恒雄『「無限」の考察』(講談社)という本は、専門書ではなく、一般向けの本なんですが、帯によると、「文章とイラスト(オールカラー)のコラボレーション新しい科学読み物!」だそうです。

数学における「無限」という概念を
1.解析における無限大
2.幾何における無限大
3.集合における無限大
の3つに分けて、順番に説明しています。
数式をほとんど使わず、例を挙げながら、イメージしやすいように丁寧に説明されているので、こういう話を初めて読む人でも読み通しやすいんじゃないでしょうか。
最後の集合論のところはちょっと難しいかもしれませんが。

数学では、論理的に正しいことが「正しい」のですが、集合論では、論理では「正しい」かどうか決められない命題が存在します。

「普遍的真理の世界が実在するという立場を私は数学の実在主義、あるいはプラトン主義と呼んでいます。
私はこれに反対する立場です。人間を離れて真理というようなものは存在しない。
数学といえども、人間の、人間による、人間のための学問なのだ、というのが私の考え方です。」

というあたりはすでに数学というよりは哲学になっているような気がしますが、私の論理と直感に関する浅はかな理解を遥かに超える世界が存在することを垣間見ることができます。
この本は「読み物」なので、そのあたりは少し触れただけで終わっています。
でも、私にとってはその辺が面白く感じられました。


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