思い込み

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ライフネット生命 スタッフ

今月、当社が韓国の教保生命と立ち上げた、韓国初のネット専業生命保険会社『ライフプラネット』が、開業1周年を迎えました。私は担当者として日韓両国を行き来しているのですが、人間がいかに思い込みに囚われているか、馬鹿らしくなることがあります。

日本にいる人たちの中には、「我々はそんなに韓国のことが嫌いでもないのに、なぜ韓国の人たちはあんなに日本のことを嫌うのだろう」と思う人が少なくないのではないでしょうか。日本中、至る所に韓国料理屋があり、町の小さなスーパーでもキムチを扱っています。韓国ドラマの放映は一過性のブームではなくすっかり定着し、毎年のように韓国へ旅行する方も増えてきました。
実は、この逆もそのままです。「我々はそんなに日本のことが嫌いでもないのに、なぜ日本の人たちはあんなに韓国のことを嫌うのだろう」と、韓国にいる多くの人たちが思っているようです。街を歩けば、居酒屋を中心にお寿司・うどん・豚カツ・カレーといった日本料理店や、日本ブランドの洋服店などが軒を連ねています。幾つもの日本マンガが韓国で映画化されており、日本の有名観光地で韓国人観光客を見かけないことは稀です。

Noisy Minority(声高な少数派)とSilent Majority(物言わぬ多数派)という言葉をご存知でしょうか。日常生活の中で、「あんな奴は大嫌いだ!」といつも言っているような人(Noisy Minority)がいたら、変わり者・偏屈者がいるなぁと思って距離をおくのが普通の人(Silent Majority)の態度だと思います。それと全く同じことで、日本でも韓国でも、隣国のことを酷く嫌っていてそれを口に出すような人は、極一部の少数派に過ぎないようです。
しかしながら、こうした極一部のNoisy Minorityの叫び声は、ある人たちによって拡散され、『事実』と化してしまうのが世の常です。あたかも、みんながそうやって叫んでいる、ないし叫ばないまでも心の中でそう思っている、というような『思い込み』を形成し、そうした『思い込み』が根雪のように重く降り積もっている。

『思い込み』をそのまま受け止めず、客観的に冷静に見つめ直す、自分のアタマで数字とファクトとロジックで捉え直す…そんな面倒なことは億劫なので、多くの人たちは何となく「あいつらは我々のことが嫌いらしい」と疑うこともなく思い込み続けています。偏見、と呼ばれるものの正体です。

ところで、21世紀の情報革命以降はグローバルに『世代間格差の方が地域間格差よりも大きい』という状況がいよいよ進展しつつあります。即ち、世界中の若者が、今や同じyoutube動画を見て笑い(自国のバラエティ番組など視聴せず)、Facebookから世界中のニュースを知り(自国の新聞など読まず)、iTunesでダウンロードしたLady GaGaを聞き(自国のpopシーンには目もくれず)、ZARAやH&MやUniqloを着て(自国の民族衣装などは一着ももたず)、フレンチからインドネシアンまで多国籍な食事を摂っている(ここでは自国料理への愛着もまだ根強いですが)。若者が「年寄りとは話が合わないなぁ」と言うのは古今東西で不変ですが、「国は違っても同年代なら話が合うなぁ」という感覚が、今や蔓延しつつあるというわけです。

こうしたコスモポリタンな若者にとっては、日韓感情に関する世間一般の『思い込み』なんて、ニュースかなにかで目にしたことがある気がする『他人事』に過ぎないのかもしれません。もはや関心がない。それよりも、どのお店のサムギョプサルが美味いか、どのお店のラーメンが美味いか、といったことの方がよほど気になる。日本のプロ野球チームよりスペインのサッカーチームの試合結果が気になって仕方ない。
グローバリゼーションが均質化させていく次世代の共感覚が、ゆっくりと根雪を溶かしていくことを祈念します。

企画部の枡野でした

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