商品数理とリスク管理

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ライフネット生命 スタッフ

今年7月に入社し数理部で働いております成川淳と申します。お客さまから頂く保険料を算出する商品数理(商品アクチュアリー)を担当していますが、直前には他社にて、会社の財務面でのリスク管理を担当していました。少し固い話となりますが、商品数理とリスク管理の関係について、個人的な思いと期待を書かせて頂きます。

ライフネット生命の「正直に経営し、わかりやすく、安くて便利な商品・サービスの提供を追求する」という理念に惹かれて私は入社しました。「安くて」の部分が私の業務に関係してきます。
生命保険会社の役割は大雑把に言うと、多くの人からお金を集めて困っている人へお金を渡すという一連の流れを作ることです。その流れの中で生じるお客さまの金銭的負担のうち、非効率な部分を最低限に抑えたいと切に願っています。

とはいうものの、なんでもいいから保険料は安ければいい、というわけにはいきません。保険会社が保険料を安くし過ぎたせいで、数年後または数十年後に、その保険会社が保険金などの支出を賄えずに破綻してしまっては、意味がありません。保険会社は将来の支出の見通しに基づいて、それを賄えるように保険料を決める必要があります。

保険会社の将来の支出は、将来の死亡や入院の発生割合を含む様々な要素によって決まります。ここで厄介なのは、これらの将来の数値が、確実には見通せないという点です。過去データに基づく推計には限界がありますし、年ごとの偶発的な変動も避けられません。保険会社の支出の増加方向へのブレの分を、少し上乗せして保険料を決めていく必要がどうしても生じてしまいます。この辺りが保険会社のリスク管理に繋がってきます。

昨今の金融業界のリスク管理では、単にリスクを抑えていく観点だけではなく、どのようなリスクをどこまで取るかというリスクテイクの観点も、同じ土俵の中で重視されています。金融機関は損失をまったく出さないように闇雲にリスクを抑えたり避けたりしていくのではなく、商品開発や資産運用で適度にリスクを取って、収益を上げていきます。

保険会社が支出のブレを保険料に反映していく話は、保険会社全体のリスク管理と簡単には結びつけづらい面もあるのですが、結局、保険会社としてどこまでリスクを抑え、どこまでリスクを取るかという話に行き着きます。保険会社として収益の向上のために価格競争力を高めることも大切ではありますが、ライフネット生命の場合、それ以前の理念として、お客さまのための保険料の安さを目指しています。その意味で、リスクを適度に取りつつ適切に管理し、安く確実に保障を届けていく必要があります。

私の今後の役割は、リスクを抑える観点と取る観点の両方を持ちながら、保険料の水準を検討していくことではないかと思っています。リスク管理を経験している者だからこそ、目線を持ってギリギリのところまで保険料を下げていけるのではないかと期待しています。がんばります。

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