五輪ボランティア

投稿者:
ライフネット生命 スタッフ

上司に内緒で五輪のボランティアに登録した。
登録手続きをすることと実際に本番で任務が与えられることは別である。2020年に向け世の中全体が盛り上がる中、老兵に声がかかることはあるまいと睨んだうえでの応募である。いわゆる冷やかしというやつだ。

ところが、ふたを開けてみるとどうも予定している頭数に足りていないらしい。ひょっとしたらお役目が回ってくるかもしれない。その時は、上司のご機嫌が一番良いタイミングを見計らって恐る恐る休暇を申し出ることにしよう。上司の顔が曇ろうものなら、直ちに前後の期間の休日出勤が前提であると付け加えよう。それが昭和サラリーマンの休日に対する姿勢というものだ。

登録は全てインターネットで行う。30分ほどかかるので心してかかれという趣旨のメッセージが最初に表示される。入力を始めると確かに項目が多いことに気づく。少し進んでは入力漏れエラーを指摘され戻って入力。また進んではまた戻る。その繰り返しだ。しかし、これを紙で郵送する方式でやれば、登録のエラー解決のためだけに今から大量のボランティアが必要になるであろう。インターネットのありがたさはこんなところにある。

さて、登録事項の中には、どんな仕事をしたいのか希望を3つまで指定することができる。頭数が足りていないから、全員の望みを叶えてくれるのかどうかは甚だ怪しい。一応聞き置くという話なのかもしれない。多くの人が敬遠するような仕事に回されることも覚悟しておこう。嫌な仕事でも与えられたら笑顔でやりきる、それが昭和サラリーマンの矜持である。

私が希望した仕事の一つは大会関係者の送迎である。晴海から五輪マークがベタベタついたワゴン車(炎天下の駐車場に長時間放置され蒸し風呂状態になっている)に乗り込みホテルの車寄せに停車する。しばらくするとロビーに、各国のエライさん(かつて有名選手であったいかついおやじが大半だ)が現れる。「ようこそ東京へ。こっちですよ、私は千葉在住ですけどね。」軽口をたたきながら車に押し込み、競技会場まで送り届ける。「貴国の選手の活躍を祈ります。Good Luck!」選手相手ではないから、多少粗相があってもメダルの色に直接関係することもなかろう。気楽ではある。競技が終われば、結果はともあれ一杯やりたいだろう。大使館のレセプションで供されるお国料理にも辟易している頃だろうから、新橋や神田の気の置けないお店を紹介しよう。日本語しか通用しない店ばかりだが気に入ってもらえるにちがいない。

「君にはお世話になった。チップをはずもう。」「いえいえ、私はボランティアの身。それは堅く禁じられております。」「残念だな。それじゃ、チームメンバーと一緒に京都に行こう」「えー、新幹線に乗って京都泊りがけ?」夏の京都の蒸し暑さだけは勘弁してくださいと口から出かかるのをぐっとこらえ、そこは国家間の友好のため、「金土日だったらなんとかします。」と答える。外国人の要求は断れない。それが昭和サラリーマンの悲しい性である。
開催まであと2年足らず。お鉢が回ってくるかどうかわからないが、私の妄想は膨らむばかりである。

お客さまサービス本部 山崎

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