平成18年に始まったがん対策基本法及びがん対策基本計画により、現在都道府県がん診療拠点病院が概ね1か所、地域がん拠点病院が二次医療圏に1か所程度が現在整備されてきています。がん拠点病院とはなにかといいますと、全国がん医療の均てん化を目標とし、がん診療拠点病院の指定要件を定めることによって、全国どこでも質の高いがん医療を提供することができるよう厚生労働省が認めた医療機関です。
たとえば東京都には平成22年4月現在、都道府県がん診療連携拠点病院2か所、地域がん診療連携拠点病院14か所(うち平成22年4月新規2か所)、さらに東京都が独自に認定する16か所の認定がん診療病院(うち平成22年新規7か所)があります。
がん拠点病院の指定要件を要約して以下にざっくりと申しますと、
標準治療(科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療であることが示され、ある状態の一般的な患者さんに行われることが推奨される治療)を提供する。
クリティカルパス(検査及び治療等を含めた詳細な診療計画表)を整備する。
キャンサーボード(手術、放射線療法及び化学療法に携わる専門的な知識及び技能を有する医師その他の専門を異にする医師等によるがん患者の症状、状態及び治療方針等を意見交換・共有・検討・確認等するためのカンファレンス)を設置し、定期的に開催する。
緩和ケアを提供する。
セカンドオピニオン(診断及び治療法について、主治医以外の第三者の医師が提示する医療上の意見)を提示する体制を有する。
地域の医療機関等と協力し、必要に応じて、退院時に当該がん患者に関する共同の診療計画の作成等を行う。
放射線療法、化学療法、病理診断、身体症状の緩和、に専門的な知識及び技能を有する医師を各1人以上配置する。
各専任コメディカルスタッフの配置。
専門的ながん医療を提供するための治療機器及び治療室等の設置。
地域のかかりつけ医師を含めた医師の高度がん、緩和ケア研修の実施体制。
相談支援を行う機能を有する部門を設置し、相談支援センターについて積極的に広報する。
そのほか、がん登録など。
各都道府県のがん診療拠点病院は、各都道府県ホームページの保健医療計画に載っていますので、皆さまがお住まい地域のがん拠点病院を知っておくこともいいかもしれませんね。がん治療のみならず、子供もお年寄りも妊婦さんも、地元住民が地域で安心した治療が受けられるよう、今後も日本の医療体制がますます整備されていくことを期待します。
お客さまサービス部 岸