シミジミ、イノセンス

投稿者:
ライフネット生命 スタッフ

この時期になると、色々とシミジミ考えてしまいます。「今年も早かったなぁー」「今年、何したっけ?」「来年こそは、あれしよう」「あーあ、また大した成長もせずに、一年が…」

でも、街中はクリスマスということもあり、イルミネーションで煌びやかに華やか。
また、忘年会などでやたら暴飲暴食のシーズンで、私のシミジミ感とは若干テンションのレベルにギャップが生じます。

日本では、イルミネーションとクリスマスツリーが中心の飾りつけをよく目にしますが、そもそもはイエスキリストの降誕の日としてお祝いされている日なので、アメリカでは家畜小屋で東方の三博士とヨセフが聖母マリアと生まれたばかりのイエスキリストを囲んでいるシーンを再現したセットをお庭に飾ったりと、日本より宗教色が強い飾り付けもたくさんあります。もちろん、屋根にサンタのソリとトナカイを設置して、煙突にはサンタが座っているような飾り付けもたくさん見ます。そして、庭にある木や街中の電柱などにもイルミネーションが施され、クリスマスキャロルがたくさん流れ、とても楽しい雰囲気になると同時に、クリスマスカードやプレゼントの準備にも追われる時期でした。そしてキリスト教徒はクリスマスには教会のミサに行きます。

クリスマスはそもそも、古代ローマやギリシャで異教徒をキリスト教徒に転宗する目的で同時期に行われていた異教徒のお祝いの「代わり」として、正確な日は知られていない「イエスキリストの誕生日」を12月25日とした、と言われていますが、なぜ、キリストの誕生とはあまり関係のないサンタがクリスマスの象徴の一つになったか気になって調べたことがあります。サンタに関しては、貧しい人へ多くのプレゼントやお金を分け与えた聖ニコラスがモデルになっています。このニコラス(聖人になったのは亡くなった後でした)を崇拝する人々(ドイツやケルトの異教徒)がニコラスの命日である12月6日にプレゼントを交換していたそうですが、キリスト教徒はキリスト教を広めるために、ニコラスが12月6日ではなく、12月25日にプレゼントを配布していたと教え、イエス誕生の日とした25日のお祝い事を増やしていったそうです。

ちなみに1821年に出版された本で初めてトナカイが引くソリに乗って子どもにプレゼントを配るおじいさんが登場し、煙突を降りてプレゼントを置いていくなどの現代のサンタ像は The Night Before Christmas という1823年の詩で広がったとされています。今の赤と白を着たサンタは1930年代米国のコカコーラの広告で使われたサンタのイメージが広がったと言われています(赤と白のサンタはその前にも雑誌や他の広告でも使われていましたが)。

そんな北極に住んでいるサンタは、アメリカでは12月になると各地のショッピングモールに現れ、多くの子ども達を1人1人膝に乗せ、プレゼントの希望を聞き、写真を一緒に撮ってくれます。お返し(という訳ではないのですが)に、子どもはクリスマスイブには、サンタさんのためにクッキーと牛乳をクリスマスツリーのそばに置いてあげることがあります。どっちも北米のクリスマス映画でもよく見る光景ですね。

6歳か7歳だったと思いますが、その年に私は母親と一緒に初めて家でクッキーを焼きました。張り切って混ぜ過ぎたせいか、硬く、ボロボロなチョコレートチップ入りのクッキーを(恐らくかなり誇らしげに)父親に食べさせたのも覚えています。その初お菓子作りもあり、その年、クリスマスの前になって、私は母親に「サンタのためにもクッキーを焼く!」と言い出しました。

クリスマスイブ、親に早く寝るようにと言われる中、他の部屋から持ってきたスタンドをクリスマスツリーの横に置き、自慢の硬いクッキーをお皿に山盛りにして、コップに牛乳を入れ、サンタさんのために丁寧に準備をしました。

わくわく。食べてくれるかな。わくわく。
クリスマスの朝。弟はどんなプレゼントがあるのか楽しみにしている中、私はサンタさんがクッキーを食べてくれたか、気になって気になって仕方がありませんでした。
そして、スタンドを見ると…。
クッキーがまだある!!
え?サンタさんは食べてくれなかったの??
でも残っているクッキーを数えてみたら、2枚減っている…。

困惑した表情をしていたのでしょうか、両親が「どうしたの?」と質問してきました。

私:「サンタさん、来てない」
母:「そんなことないでしょ。ちゃんとクッキー食べてくれたでしょ?」
私:「だって、クッキー残したもん。サンタさんは、クッキーは必ず全部食べるの。ミルクも半分しか飲んでない。サンタさん、来てない」
父:「他のお家でもクッキーたくさん食べたから、お腹が一杯だったんじゃない?」
私:「サンタさんは、お腹一杯にならないの」

そばで弟はビリビリとプレゼントを開けていました。そして、私は気づいてしまったのです。

私:「この家には煙突がないから、サンタさん、来れない」
母:「サンタは煙突がなくても、来れるのよ。プレゼントもあるでしょ」
私:「どこから入って来るの?」
父:「窓から。さっき、クリスマスツリーの横の窓が開いてたから、閉めたばっかり」

当時30階建てのアパートの17階に住んでいたので、父の「窓から」説には納得できず、「ソリは?」「本当にロープで下りて来るの?」などと質問をし、そこから台所に行き、サンタ用に出さなかった残りのクッキーを数えたら、1枚増えてる…。

当時はどのように読み取っていたのかは分かりませんが、今思い返すと、両親は必死、かつ心配そうな顔をしていたような気がします。

「サンタさん、いない…」

懸命な両親の説得は物ともせず、私はサンタさんがクッキーを全部食べてくれなかった、というだけのことで、サンタが実在しないことを悟ってしまいました。

「信じる者は救われる」ではありませんが、クリスマスは20年以上前、私がイノセンスを失った、シミジミとする日となりました。
111214.JPG
総務部 千浦


  • このエントリーをはてなブックマークに追加する
  • Twitterでつぶやく

ページの先頭へ戻る