映画の世界

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ライフネット生命 スタッフ

人生の楽しみって何でしょうか。
スポーツするのも楽しい。気のおけない友人と飲むのもかかせない。海外旅行もワクワクします。
でもわたしにとって外せないのはやっぱり映画です。

映像のもつ情報量は膨大です。
学生のころ、ビデオジャーナリズムの先生が「たった1分間の映像を文字に書き起こすと原稿用紙30枚くらいになる」と言っていました。

身の周りの景色をいま何気なく撮っても、7月の日差しがビルの前の新緑をすかしている感じや、遠くからかすかに聞こえる下校中の小学生のおしゃべりのトーンなどが一瞬で写り込んでしまうでしょう。
映像は情報量が多いという利点の反面、意図が何もなくてもたくさんの情報が写ってしまうメディアなので、映画やドラマの作品は全ショットで狙ったことを意図したように伝えるよう工夫されているんだろうと思います。

素晴らしい映画に出会ったときは、監督や撮影や美術や照明などのそれぞれのプロが自分の意図を関係者に伝えるために、原稿用紙にすると一体何万枚くらいの言葉を駆使して説明したんだろうと、思わず気が遠くなります。

映画の楽しみかたは人それぞれあると思いますが、わたしは好きな映画は何回も見てしまいます。このような感じです。
・1回目:普通に見る
ストーリーや演技や音楽などを全体的に見て思いっきり楽しみます。
・2回目:特徴的なところを見る
演技、照明、撮影、カメラワーク、編集、音、美術、セットなど、気になったところやすごいなと思ったところを重点的に見て感じ入ります。
・2回目と同時:映画技術を想像しながら見る
たとえばガラスの前に登場人物が立って移動しながら話しているのに、カメラがガラスに写っていない。どこから撮っているんだろう?今のシーンは何テイクから成り立っているんだろう?
撮影時工事の音が入ってしまい、編集の過程で途切れて不自然になってしまったのはどう緩和すればよかったんだろう?など、どうやって作ったのか想像しながら見るのも楽しいです。
・特典を見る
DVDによっては監督や撮影監督のコメンタリーが入っていることがあり、映画製作の実話が聞けます。

作品はいろいろな経緯があって最後の形に仕上がっているのだということが分かり、このコーナーはなかなか見逃せません。ときには見ながら感じた疑問の答え合わせができることもあります。
また90分や120分もの長い間1人か2人で話し続けるので、製作者の個性がかなり出ることになります。
サービス精神旺盛で全てのシーンを理路整然と説明する人もいれば、なかにはコメンタリーの中で仲間に喧嘩をふっかけちゃう人もいて、人間らしさがまざまざと溢れています。

これらに加えて最近海外の連続ドラマも見出してしまい、そこでまた新たな楽しみを発見しました。「現場の人間模様を想像しながら見る」という方法です。
とあるミュージカルドラマがきっかけだったのですが、毎回3曲くらい振付きの趣向を凝らした歌があるのに1~2週間で1本という猛スピードで撮影しているらしいのです。
その間に撮影するためには、集合練習しなければならないし、まず振りを考えなくてはならないし、並行して衣装を合わせなくてはならないし、いろいろ調整も入るし…と、何人で作っているのかは分かりませんが、全関係者のスケジューリングを考えるだけでも頭がこんがらがりそうです。
そんなてんやわんやの現場を想像して、「よくここまでできたな~…!」などと思いながら見ると感慨もひとしおと気付きました。
それ以降、別のドラマであり得ないミスを発見すると「編集の段階で気付いても撮り直しできない状況なんだ」と冷や汗をかいたり、主要な登場人物より才能豊かな名もない脇役を見ると「撮影現場ではどのような会話をしているんだろう」とドギマギしたり。

映画は連続ドラマと違って作っている人たちのことは分かりにくいですが、やはりたくさんのプロがそれぞれ自分の分野で最高のことをしようと必至に作っているに違いありません。
そう考えると、映画がよく言われるような「総合芸術」であることはもちろん、何かもっとそれ以上のものに思えてきます。人々のいちかばちかのチャレンジや努力や才能や運、出会いや別れが詰まってできているからでしょうか。
素晴らしい1本に出会ったときの喜びは人生何十人分です。
そんな素晴らしい作品たちに負けないよう、わたしもがんばって働きたいと思います。

企画部 前田


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