新卒採用・就職活動を勝手に評論~多様性、大企業、採用プロセス、そして個~

投稿者:
ライフネット生命 スタッフ

現在、まっただ中にある新卒採用ですが、メディア報道等を見ていると、何やら違和感を覚えてしまします。私自身が就職活動をした事がなく、これまで過ごしてしまったせいかもしれませんが、現在、鴻鵠塾という社会人と学生が一緒になってプロジェクトを遂行したり、就活支援などを行うNPOに所属している関係から、多くの企業の人事部の方々とお会いする機会があり、実は、本音と建前にギャップがあるのではと感じています。

特に違和感を感じるのが以下の3点です。
1.多様性をうたい文句にしているが、多様な環境で過ごした事のない評価者が多様な人材を評価できるのか?
2.評価者が評価される人よりも、“優秀”で“人格者”であることが前提にある気がするのだが、本当にそうなのか?
3.“もう会社は守ってくれないので個として自立せよ!”等が叫ばれているが、個人として自立することと、大企業指向が強まっていることは共存できるのか?

例えば人事のオジサンが、「行動力とコミュニケーション能力を持った人材を重視」などと言うのを聞くにつけ、あなたは、行動力やコミュニケーション能力を持っているんですか?と問うてみたくなります。一昔前には、まるでスローガンのように「経営の視点に立った人材になって欲しい」と言われていましたが、これも眉つばではないでしょうか。元来がひねくれ者なのかもしれません。また、多くが行動力やコミュニケーション能力を持つ者で構成されれば、これまで統制型のマネジメントでやって来た企業においては、途端に統制が効かなくなり、意思決定に影響を及ぼしてしまう気がします。

その一方多様性が叫ばれたりもしています。多くの企業で同様のうたい文句が聞かれる事にも違和感を覚えます。20世紀型のユニフォーム的環境下から脱却する必要があることは、単一の国から、市場もサプライチェーンもグローバル化された今、重要な要素である事は否めない事実かと思いますが、多様性は単に国籍・性別・学歴等のプロファイルのみならず、仕事の内容や質において、真の多様性が確保される事が重要な気がします。採用側の本当の言葉を聞いてみたい気がします。

また、評価者が評価される人よりも優秀である事が前提であり、評価者はあたかも人格者であるといった光景が伺えるのですが、その優秀さは、組織人としての優秀さであって、社会環境や経済環境が激変する現代にあっては、優秀さの定義や多様性のあり方も変化しているのではと感じるのです。

もちろん膨大な候補者の中から、相対的に優秀そうな限られた人を選びとるプロセスを取らざるを得ない状況では、致し方ないのかもしれません。しかしながら、ここ数日の報道でも、一部の優秀(定義は不明)な方々が複数の内定を得てしまうために、本当にユニークで多様な人々に席が回って来ない可能性がある事も認められています。この事一つとっても、多様性の確保と叫ぶ半面、似通った母集団に偏重している証左ではないでしょうか。

最後に、人件費の変動費化、ボーナス、退職金、福利厚生の縮小など、もう連日のようにニュース報道されています。多くの企業で業績や将来性が不安視される中、会社はもう従業員を守ってくれない。だから、個人として、どんな環境でもサバイブできるように強くなれ!との論調を多く耳にします。その一方で益々大企業指向が強まる様相です。この事は本当に両立・共存できるのでしょうか?

そもそも大企業の大企業たる所以は、大規模で複雑なプロジェクト等を、資金力や組織力を持って進められる点にあると思います。

転職市場等でも、上司が悪いから、適正な評価を受けられない、本当にやりたい事が出来ない等も、よく聞かれるところですが、他人が創り上げた組織の中では、“求められる像に近づくこと“、それ自体が求められているのであり、個を主張したり、置かれた外部環境のせいにすることに、そもそも無理がある気がします。

大企業に行くと利点も沢山あると思います。組織としての知の蓄積もあるでしょうし、その道のプロも多く知見をシェアする事もできるはずです。また大規模で複雑なスキーム等も得意とするところかもしれません。しかしながら、個として自立することについては、やはりベンチャー企業のように、道なき道を進み、自らが歩いた後に道ができるようなプロセスを踏み続ける事の方に利点がある気がします。

昨日、「新卒採用関係者の意識調査」と題して、人事採用者の本音を探るリサーチを、ライフネット生命よりリリースさせて頂いています。ぜひ、採用に携わる方も、これから就職される方も、ご一読いただければ幸いです。

なお、このブログの掲載内容は私自身の見解であり、必ずしもライフネットの立場や意見を代表するものではありません。

マーケティング部 菅宏司


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