実家が手狭になったという友人宅に彼の実家から大量の荷物が届いたらしく、その片付けを手伝いに行きました。山のような段ボールの中はアルバムや学生時代に工作したオルゴールなど思い出の品が多く、捨てるに捨てられず作業は捗りませんでした。私はたまにゴミを分別したり、空になった段ボールを潰すくらいしかやることがなく、可愛らしく六角形に折られたラブレターを盗み見しようとするほど退屈でした。
そんな中、一番重たい段ボールに児童向けのシャーロック=ホームズ全集が入っていたので読み始めました。結局、片付けは一日では終わらず、私は「緋色の研究」を半分ほど読み終え、更に全14巻を借りてしまいました。
9月に入り、夜はだいぶ涼しく過ごしやすくなったので、この週末はその本を読んで過ごしました。
コナン=ドイルの生きた1800年代後半を背景にホームズの推理と分析、そして優れた行動力によって事件が解決されていく爽快感はもちろん、子どもの頃は気がつかなかった彼のやや屈折しているものの、時折見せる友人への気遣いが行間から読み取ることができ感銘を受けました。
またその本は約30年も前の1983年に翻訳・出版された本なので、その当時の雰囲気も随所に感じられるところも醍醐味です。例えば、ホームズは薬物依存性のように描かれていますし、足の悪いワトソンを現在では使わない、むしろ差別用語として使うことを良しとしない言葉で形容されたりしています。寛大な時代だったのですねぇ。最近の「はだしのゲン」の報道が頭をよぎりました。
夢中になって読みふけっていると、いつの間にか夜になっていましたが、この本は児童向けで字が大きいので、少し暗い屋外でも問題なく読めました。暗い所での読書はオススメしませんが、子どもの頃に読んだ古い本を引っ張り出して、風に吹かれながらの屋外読書はこれからの季節にはオススメです。あと、友人の荷物の片付け手伝いもオススメです。新たな出会いがあると思います。
システム部のニイヤマでした。