わたしが山に登る理由

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ライフネット生命 スタッフ

7月28日17時35分 もうダメ…もう、これ以上歩きたくない。ここで終わりにしたい。
いつの間にか、あたりを見渡すと人の姿が見えなくなっていました。聞こえるのは、遠くの雷とかすかに聞こえる沢の音だけ。雨がポツポツと降り出して、ザックやすでに汗ばんだTシャツを濡らしていました。そのとき私は、レインウェアを着る元気もなく、張り出した木の根に座り込んでいました。

27日深夜23時30分 ライフネット登山部、総勢11名で出発。昨年の富士山に続き、今回ターゲットとして選ばれたのは、八ヶ岳の中で最も高い赤岳(標高2,899m)。会社に集合し、バスをチャーターして早朝から登山する計画です。集合予定時間の23時になっても、飲みに行って戻ってこない人、まだ仕事をしている人、ザックに荷物を詰め込んでいる人、そういえば、登山届もまだできてない…何かを予感させるスタートでした。

28日早朝4時 八ヶ岳登山道へ向かう入り口である、美濃戸口に到着。バスは予定より30分以上早く到着し、寝不足と緊張で興奮したテンションのまま登山スタート。
赤岳登山で最もメジャーな入り口である美濃戸口から行者小屋を経由し、文三郎道を登ります。山頂まで所要約6時間の予定。登山道は、緑が豊かで森林浴、森林限界を超える標高では岩場や鉄階段、鎖場が登場してアスレチックのようでした。
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11時5分 予定より1時間長くかかりましたが、7時間で赤岳山頂に到着。あれ?登る前はもっと大変かと思ってたけど、割とすんなりいけちゃったんじゃない?

山頂にて「ライフネット生命♪」
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山頂は、カップラーメンやレトルトの食事、ビールやコーヒーを飲んでいる登山者で賑わっていました。私たち登山部一行は、赤岳山頂の山荘でカレーを食べて、しばし休憩。

12時15分 山荘を出発。行きのルートとは違う、横岳の手前から海の口に向かって下る杣添尾根を下る計画です。杣添尾根入口からは所要約3時間30分の予定です。

14時15分 赤岳から横岳(標高2,829m)に向かう稜線を2時間歩き続けていますが、まだ下山口(下山するための入り口)に到着しません。鎖を伝い、崖をよじ登りながら歩き続きます。アスレチックというよりファイト一発の崖です。あとで聞きましたが、赤岳~横岳ルートは、よく滑落者が出るルートだそうです。このころから、先が見えない不安と疲れで皆次第に無口になっていきました。

「下山ルートの入り口ってどこ?」「この山の向こうにあるはず」
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15時15分 ついに杣添尾根入口に到着。とりあえず、帰り道は間違っていなかったと安堵。しかし、今から2,800m下るという現実に、霧のように不安が…

実は地獄の入口に見えました。
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16時 ストックを使いながら、大きな岩が転がる道を下り続けます。
17時 辛うじて道とわかる、森のど真ん中の茂みを下り続けます。まだ沢の音も聞こえません。下山時に体重のかかる足の親指が腫れているのが分かります。
18時 雷と小雨がぱらつき、空が暗くなってきました。沢の音が聞こえていますが、地上はまだ感じられません。前を歩いていた他のメンバーと合流し、「あと少しで着くはず」と励まし合いながら歩き続けました。
19時10分 海の口(杣添登山口の入口)に到着。道路のアスファルトが見えた途端、日が完全に落ちてあたりは暗闇に包まれました。

八ヶ岳登山に向かう前、よく登山するという同僚に「登山の途中は辛くて『人はなぜ山に登るのか』と考えますよ」と言われましたが、一番ハードだった下山の間「なぜ…」と考えることは不思議と一度もありませんでした。わが身を振り返ることも、準備不足を悔やむことも、文句を言うことも、ましてや哲学的に山を登る意味を問うことも。頭を占めていたのは「全員無事で、怪我をせずに地上にたどり着くこと」だけでした。

人間の脳には辛い思い出を浄化し、よい思い出しか残さない働きがあるそうです。筋肉痛も消えた今、「次はどこに登ろうかな?」と考えたりする毎日。
人はなぜ山に登るのか?の答えは、ここにある気がします。疲れや恐れは消え、自然と一体となった充実感、仲間との連帯感、挫けず成し遂げた自信だけが記憶に残っています。

来年も、登山部(夏季限定)は活動することでしょう。来たれ、登山部へ。
一緒に山登りしたい人、歓迎!
※次回は命を張らずに、きちんと事前に計画・準備します

総務部 吉田

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